無自覚姫は今日も美形集団を纏わせる
〈side 蓮羅〉
「突然だけどさ~・・・僕、最近すっごい楽しかったんだよね~・・・」
ホントに突然、蒼鷺くんが口を開いた。
「なにが楽しかったの?」
愛想よくニコニコ笑って琴李くんが首を傾げた。
「妹・・・名前は葵華って言うんだけどね。葵華は今、婚約者の家に住んでて~・・・その婚約者が葵華になにかしたときの【暗殺計画】?」
「そっか~・・・【暗殺計画】ね~。詳しく聞かせてくれる~?」
少し気になって訊くと琴李くんが僕を鋭い目で見た。
「蓮羅・・・?そんなこと訊かないの。今は真空ちゃんがいないからいいけど悪影響でしょ。蒼鷺くんも暗殺とか言わないで」
「は~・・・い」
「あ~、真空に悪影響か~・・・なら仕方がないね」
僕が小さくうなずくと、蒼鷺くんは納得したように目を瞑った。
「ねぇ・・・蒼鷺。『楽しかった』って・・・?」
あ~・・・たしかに。
なんで過去形なんだろ?
「あれ~、わかると思ってたけど~・・・。真空が引っ越しちゃうからもうあんまり楽しくない・・・」
なるほど~・・・そうだね、あと半年か・・・。
半年で真空ちゃんとどれだけ思い出をつくれるか・・・。
半年後のトコを思うと瞳から光を失う感覚がする。
「・・・れ、蓮羅~・・・?目っ・・・光ってない・・・!瞳孔どこ行った?!」
氷空くんの慌てたような声にハッとした。
「あれ~・・・ぇ?ホントに光失ってた?あちゃ~・・・ごめんね~」
軽く謝罪して僕は考える。
前気付いたこと。
真空ちゃんのことが好きだって──氷空くんの初恋の女の子なのに。
・・・それなのに僕も好きになっちゃった。
氷空くんに悪いコトしちゃったな~・・・。
今のところ、真空は特別な感情が入った瞳で氷空くんを見てるわけではない。
だから、僕にもチャンスが──。
・・・なんて考えてしまうのは、僕が氷空くんから真空ちゃんを略奪しようとしているのに、まったく反省してないからかもしれない。
あーぁ・・・僕って大切な友達──氷空くんに関してはもう親友だよね──の好きな人を奪うほど最低な人間だったっけ?
それとも・・・いや、それはない。
そんなこと・・・あってはいけない。
僕がやって許されるのは・・・。
──真空ちゃんのことを、好きになるまで。
「・・・蓮羅?どうしたの」
「っ、ん~?なんでもないよ~、ちょっと僕と真空ちゃんの新婚生活を考えてて?」
冗談っぽく言ってみると。
「ちょ・・・!付き合うの飛ばして結婚?!・・・っていうか」
氷空くんは本気と取ったのか、不審そうな視線を向けてきた。
「蓮羅は・・・」
・・・嫌な予感がする。
どうしよう・・・なんて言われるのかが分かってしまう自分が嫌いだ。
「・・・真空のことが好きなの」
・・・疑問形ではなく、確信したような口調で尋ねられて──僕は今まで積み上げてきた、氷空くんとの友情がバラバラと崩れ落ちていく気がした。
「突然だけどさ~・・・僕、最近すっごい楽しかったんだよね~・・・」
ホントに突然、蒼鷺くんが口を開いた。
「なにが楽しかったの?」
愛想よくニコニコ笑って琴李くんが首を傾げた。
「妹・・・名前は葵華って言うんだけどね。葵華は今、婚約者の家に住んでて~・・・その婚約者が葵華になにかしたときの【暗殺計画】?」
「そっか~・・・【暗殺計画】ね~。詳しく聞かせてくれる~?」
少し気になって訊くと琴李くんが僕を鋭い目で見た。
「蓮羅・・・?そんなこと訊かないの。今は真空ちゃんがいないからいいけど悪影響でしょ。蒼鷺くんも暗殺とか言わないで」
「は~・・・い」
「あ~、真空に悪影響か~・・・なら仕方がないね」
僕が小さくうなずくと、蒼鷺くんは納得したように目を瞑った。
「ねぇ・・・蒼鷺。『楽しかった』って・・・?」
あ~・・・たしかに。
なんで過去形なんだろ?
「あれ~、わかると思ってたけど~・・・。真空が引っ越しちゃうからもうあんまり楽しくない・・・」
なるほど~・・・そうだね、あと半年か・・・。
半年で真空ちゃんとどれだけ思い出をつくれるか・・・。
半年後のトコを思うと瞳から光を失う感覚がする。
「・・・れ、蓮羅~・・・?目っ・・・光ってない・・・!瞳孔どこ行った?!」
氷空くんの慌てたような声にハッとした。
「あれ~・・・ぇ?ホントに光失ってた?あちゃ~・・・ごめんね~」
軽く謝罪して僕は考える。
前気付いたこと。
真空ちゃんのことが好きだって──氷空くんの初恋の女の子なのに。
・・・それなのに僕も好きになっちゃった。
氷空くんに悪いコトしちゃったな~・・・。
今のところ、真空は特別な感情が入った瞳で氷空くんを見てるわけではない。
だから、僕にもチャンスが──。
・・・なんて考えてしまうのは、僕が氷空くんから真空ちゃんを略奪しようとしているのに、まったく反省してないからかもしれない。
あーぁ・・・僕って大切な友達──氷空くんに関してはもう親友だよね──の好きな人を奪うほど最低な人間だったっけ?
それとも・・・いや、それはない。
そんなこと・・・あってはいけない。
僕がやって許されるのは・・・。
──真空ちゃんのことを、好きになるまで。
「・・・蓮羅?どうしたの」
「っ、ん~?なんでもないよ~、ちょっと僕と真空ちゃんの新婚生活を考えてて?」
冗談っぽく言ってみると。
「ちょ・・・!付き合うの飛ばして結婚?!・・・っていうか」
氷空くんは本気と取ったのか、不審そうな視線を向けてきた。
「蓮羅は・・・」
・・・嫌な予感がする。
どうしよう・・・なんて言われるのかが分かってしまう自分が嫌いだ。
「・・・真空のことが好きなの」
・・・疑問形ではなく、確信したような口調で尋ねられて──僕は今まで積み上げてきた、氷空くんとの友情がバラバラと崩れ落ちていく気がした。