無自覚姫は今日も美形集団を纏わせる
夜9時──
中学生にしてはちょっと早めな、でも健康的な就寝時間です。
私たちは30畳くらいの部屋に布団を敷いて寝るんだけど・・・。
ここで事件が発生。
私はど真ん中で寝るらしい。
これは決定事項と言われたから早々に私だけ布団を敷いたんだけど・・・。
「義姉様!私が横で眠らせていただいてもよろしいですか・・・?!」
葵華が食い気味に訊いてきて、私はとりあえず頷いておいた。
「女の子が横に居たら安心だね、一緒に寝よう、葵華」
「義姉様・・・!感無量です・・・!!」
すぐに布団を私の横に手慣れた手つきで敷き、その上に正座して残りのみんなを見つめる。
                                                                      
「俺が一番仲がいい!だから俺が真空の隣・・・!」                                              
 
「僕だよ~女の子が隣に居て安心なら女の子っぽい僕が隣に寝るべき~」
                                                                       
「僕は寝相に自信あるから!このなかで1番紳士だと思うし!」
                                                                        
「・・・血縁が隣に居る方が安心感があるだろう、俺が隣だ」
                                                                        
「血縁っていう理由しかないの~?僕は真空の婚約者だからね~」 
                                                                       
「私は義姉様の隣に兄様を推薦いたします!」
                                                                  
途中で葵華が口をはさみ、ややこしい話がもっとめんどくさくなってしまった。
はぁ・・・これは収集つかないな・・・諦めよう。
「・・・葵華、先に寝ようか」
「申し訳ございません、義姉様。私は兄様を最後まで責任をもって推薦しなければいけませんので!」
「あ、そう・・・」
即答され、私はあきらめてみんなの話し合いを見守ることにした。
                                                              
「俺がいい!1番真空と組んだらバランス取れる!」
                                                                   
「バランスとか無いから~。それだったら性別似の僕~」
                                                                  
「僕でしょ!だって真空と優しい同士!釣り合い取れるし!」
                                                                    
「・・・バランスだったら血縁が1番取れるに決まってる」
                                                                   
「また血縁血縁って~それしか言えないの~?僕婚約者~」
                                                                       
ほ~い、と手を上げた葵厘に、葵華が大袈裟なくらいに頷いている。
「もー、じゃんけんで決めて!」
眠いよ~・・・。
たまらず声を上げると、ピタリと動きを止めたみんなが私を見た。
                                                                   
「蒼鷺が真空を困らせた!」
                                                                   
「氷空くんが最初に話し出してるよ~」
                                                                  
「蓮羅が1番しゃべってるよ!」
                                                                   
「・・・琴李はずっと叫んでる」
                                                                   
「やっぱり血縁しか言えない雀矢じゃな~い?」
                                                                      
はぁ・・・もうだめだ。
「はいっ、」
私はみんなの意見を無視して半ば叫ぶように言った。
                                                                   
さーいしょーはグー!
じゃーんけーん──
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