無自覚姫は今日も美形集団を纏わせる
氷空くんはニコニコした顔をランタンで照らしながら口を開く。
「俺ね、最近興味を持ちだしたことがあって」
興味かぁ・・・そういうのもいいね。
「ずっとバイオリンやってきたんだけど、ピアノを始めたんだ」
あぁ・・・たしかに、最近氷空くんの家にグランドピアノが届いてたっけ。
「なに弾いてるの?」
「ん-、今はワルツを練習してるよ。ロ短調」
「いいね!タータタタタタターターって感じの曲だよね?ショパンの」
「そうそう。ファーソファミレドシーシーね」
琴李くんの言ったリズムに首をかしげる。
どっかで聴いたことあるなぁ・・・駅かショッピングモールかで流れてたかな?
「僕もピアノやってるよ~」
蓮羅くんも名乗りを上げ、みんながそちらを見る。
「最近はピアノソナタ弾いてるよ~なんかピアノの家庭教師が難易度急に上げてきてさ~」
・・・うん、愚痴ってる?
「ぼくはチェロだよ」
琴李くんはチェロ!
「あのどっしりした音が気に入ってね」
嬉しそうにはにかむ琴李くんに続いて。
「・・・俺はクラリネットだ」
心珠はクラリネット!
吹奏楽・・・かな?
初等部は吹奏楽部入っていたとか?
「僕は尺八をやってるよ~」
「私はお琴をやっております」
蒼鷺兄妹は和楽器。
うーん・・・茶道と華道のお家っぽい感じにマッチしておりますなぁ。
「真空は楽器やってる?」
「私は楽器全般できるよ」
耳コピも目コピも上等!
かかってこい!って感じ。
「ひゅ~、さすが真空ちゃ~ん~」
ぱちぱちと手をたたいた蓮羅くんに笑みを返して、そのあとは他愛もない話をした。
結局引っ越しのコトは話せなかったけど・・・満足、かな。

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