無自覚姫は今日も美形集団を纏わせる
「真空・・・ちょっと、いい?」
「あ・・・いい、よ」
氷空くんにもう一度声を掛けられてハッとする。
そのあと告白のコトを思い出して頬が赤くなるのを感じた。
「ふふ。わかってるみたいだね。じゃあ行こうか?」
「・・・っ、うん・・・」
私は氷空くんに手を引かれて家の裏に回る。
家族から見えなくなる直前、氷空くんは両親に会釈していた。
「さて・・・いいかな?」
「・・・うん」
私ってば、ずるい。
話題なんてわかってるし、ずっと氷空くんに話してもらうのは間違ってるはず。
私が話さなきゃいけないのに・・・。
氷空くんが優しいのをいいことに、私はその優しさに甘えて自分から動こうとしない。
なんて最低な女だろう。
氷空くんも私の考えていることが分かったら幻滅するんだろうな。
それがみんなに伝わったら軽蔑の目で見られて・・・。
・・・っ、それは、いやだ・・・!
「・・・そ、氷空くん」
「!」
氷空くんは私からは話しかけてくるとは思っていなかったのか驚いたように目を見開いたけど・・・。
「うん、なぁに?」
慈愛の笑みを深めて首を傾げた。
「私は・・・その、氷空くん、が・・・」
言えない。
もしもうすでに・・・氷空くんが、私のコトを好きじゃなかったら?
私の勘違いとか・・・夢だったのかもしれないし。
意識過剰とかもしかしたらそうかもしれない。
やっぱり、言わないほうが・・・。
「ご、ごめ・・・私、やっぱり・・・」
目を伏せたままぎゅっと瞑ると。
「・・・途中であきらめるなんて、真空らしくないね?」
「・・・え」
氷空くんの声が耳元に伝わる。
顔を上げ、目を開くと、そこに氷空くんはいなかった。
あるのは、視界いっぱいに広がるカーキ色の・・・布?
これは・・・氷空くんの、今日来ていた服だ。
つまり・・・?
抱きしめられてる、ってこと、・・・だよね?
え・・・え。
なんで?なんで抱きしめられてるんだろ?
「・・・真空・・・好き」
「うん、私も──っん?えぇ?」
あれ、私の耳おかしくなったなぁ。
だっていつも爽やかでナニゴトにも動じないあの氷空くんが、だよ?
その氷空くんが・・・甘いような、焦ったような、どこかもどかしそうな声を発するとは・・・思えない。
あーぁ・・・私、ついに耳も使い物にならなくなったんだ。
ホントは氷空くん、なんて言ってるんだろう?
「真空・・・返事、して・・・」
「え?返事って・・・」
「・・・好き」
「っは?」
ホント・・・に、言ってた?
「俺と付き合ってくれないの・・・?俺じゃ、なにが足りない?」
「あ、いや・・・私は・・・」
「・・・好きか、嫌いか・・・」
「・・・好き」
氷空くんの泣きそうな声に私は思わず本音をもらした。
「じゃあ・・・付き合ってくれる、よね?」
「・・・ホントのホントに、私でいいの?学校には私よりずっと美人で頭良くて運動神経良くて優しい子がいるのに・・・」
「・・・真空知らない・・・?真空、学園内美形ランキング男女混合1位、成績満点首席、体育祭MVP幼稚舎から連続で取ってるし、理想の性格ランキング男女混合1位・・・だよ?」
・・・どこから仕入れたのだ、その変なランキングと情報。
「それに・・・真空の心とか、考え方とか・・・全部好きだから不細工でも馬鹿でも運動音痴でも・・・別に、優しい真空だったらいいの」
・・・うん、泣きそう!
氷空くん、絶妙に涙腺崩壊のセリフ言ってくる。
「・・・ありがとう。・・・好きだよ、氷空くん」
「・・・俺も」
ようやく私を離した氷空くんはニッコリ笑って、人差し指を立てた。
その指は私の顔に近づいてきて・・・。
「・・・ちょーだい?」
トン、と軽く唇を押された。
「・・・っ、ぅ・・・」
どう、しよう・・・。
今思えば私、結構ヤバくない?
だって葵厘とたくさんキスしちゃってるし、お泊り会の日も正体不明の人にキスされちゃったし。
「・・・っ、ん」
私は意を決して背伸びをする。
さすがに唇は恥ずかしいから頬にキスを落とした。
「・・・取られちゃったね」
嬉しそうに私ながら氷空くんはぐいっと私の腰を引き寄せた。
「・・・ん・・・」
ゆっくり、唇に触れるだけのキスが降る。
そのあとちゅっちゅっと啄むようなキスをされ、角度を変えて段々深くなる。
息・・・でき、ないっ・・・。
控えめにトントン、と氷空くんの胸板を叩くと唇が離れた。
「ごめん・・・苦しかったね」
涙目になっている私の眦を拭い、困ったように笑った氷空くんに首を傾げた。
「でももう・・・今日は抑え利かなそう・・・」
すぐにまたキスが降りてくる。
数秒後、私はハッとしてしまった。
気付いてしまったのだ。
「氷空、くんっ・・・みんな、待たせてる・・・!」
私が声を掛けると。
「あ」
いっけね、とでも言いたそうな顔になった氷空くんに笑ってしまった。
「あー、もっとしたかった。1回戻って帰ってもらう?」
「駄目だよ・・・!私も学園に滞在できるようにまた手続しなきゃ・・・!!」
「・・・ちっ」
わかりやすく?笑顔で舌打ちをした氷空くんはそっと私を離した。
「私をあなたの姫にしてくれるのですか?」
私が悪戯っぽくそう聞くと、氷空くんはパチパチと瞬きをしたあと、ニッコリ。
「・・・えぇ、もちろんです、姫。ここで誓いましょうか?」
「ふふ」
「これから俺は、真空を守る。万が一、離れても、愛することも誓う。・・・そんなこと、させないけどね」
だから・・・と氷空くんが区切り、私の手を取ってキスを落とした。
「ずっと俺に愛されて」
私の王子様は、私だけの王子様です。
「あ・・・いい、よ」
氷空くんにもう一度声を掛けられてハッとする。
そのあと告白のコトを思い出して頬が赤くなるのを感じた。
「ふふ。わかってるみたいだね。じゃあ行こうか?」
「・・・っ、うん・・・」
私は氷空くんに手を引かれて家の裏に回る。
家族から見えなくなる直前、氷空くんは両親に会釈していた。
「さて・・・いいかな?」
「・・・うん」
私ってば、ずるい。
話題なんてわかってるし、ずっと氷空くんに話してもらうのは間違ってるはず。
私が話さなきゃいけないのに・・・。
氷空くんが優しいのをいいことに、私はその優しさに甘えて自分から動こうとしない。
なんて最低な女だろう。
氷空くんも私の考えていることが分かったら幻滅するんだろうな。
それがみんなに伝わったら軽蔑の目で見られて・・・。
・・・っ、それは、いやだ・・・!
「・・・そ、氷空くん」
「!」
氷空くんは私からは話しかけてくるとは思っていなかったのか驚いたように目を見開いたけど・・・。
「うん、なぁに?」
慈愛の笑みを深めて首を傾げた。
「私は・・・その、氷空くん、が・・・」
言えない。
もしもうすでに・・・氷空くんが、私のコトを好きじゃなかったら?
私の勘違いとか・・・夢だったのかもしれないし。
意識過剰とかもしかしたらそうかもしれない。
やっぱり、言わないほうが・・・。
「ご、ごめ・・・私、やっぱり・・・」
目を伏せたままぎゅっと瞑ると。
「・・・途中であきらめるなんて、真空らしくないね?」
「・・・え」
氷空くんの声が耳元に伝わる。
顔を上げ、目を開くと、そこに氷空くんはいなかった。
あるのは、視界いっぱいに広がるカーキ色の・・・布?
これは・・・氷空くんの、今日来ていた服だ。
つまり・・・?
抱きしめられてる、ってこと、・・・だよね?
え・・・え。
なんで?なんで抱きしめられてるんだろ?
「・・・真空・・・好き」
「うん、私も──っん?えぇ?」
あれ、私の耳おかしくなったなぁ。
だっていつも爽やかでナニゴトにも動じないあの氷空くんが、だよ?
その氷空くんが・・・甘いような、焦ったような、どこかもどかしそうな声を発するとは・・・思えない。
あーぁ・・・私、ついに耳も使い物にならなくなったんだ。
ホントは氷空くん、なんて言ってるんだろう?
「真空・・・返事、して・・・」
「え?返事って・・・」
「・・・好き」
「っは?」
ホント・・・に、言ってた?
「俺と付き合ってくれないの・・・?俺じゃ、なにが足りない?」
「あ、いや・・・私は・・・」
「・・・好きか、嫌いか・・・」
「・・・好き」
氷空くんの泣きそうな声に私は思わず本音をもらした。
「じゃあ・・・付き合ってくれる、よね?」
「・・・ホントのホントに、私でいいの?学校には私よりずっと美人で頭良くて運動神経良くて優しい子がいるのに・・・」
「・・・真空知らない・・・?真空、学園内美形ランキング男女混合1位、成績満点首席、体育祭MVP幼稚舎から連続で取ってるし、理想の性格ランキング男女混合1位・・・だよ?」
・・・どこから仕入れたのだ、その変なランキングと情報。
「それに・・・真空の心とか、考え方とか・・・全部好きだから不細工でも馬鹿でも運動音痴でも・・・別に、優しい真空だったらいいの」
・・・うん、泣きそう!
氷空くん、絶妙に涙腺崩壊のセリフ言ってくる。
「・・・ありがとう。・・・好きだよ、氷空くん」
「・・・俺も」
ようやく私を離した氷空くんはニッコリ笑って、人差し指を立てた。
その指は私の顔に近づいてきて・・・。
「・・・ちょーだい?」
トン、と軽く唇を押された。
「・・・っ、ぅ・・・」
どう、しよう・・・。
今思えば私、結構ヤバくない?
だって葵厘とたくさんキスしちゃってるし、お泊り会の日も正体不明の人にキスされちゃったし。
「・・・っ、ん」
私は意を決して背伸びをする。
さすがに唇は恥ずかしいから頬にキスを落とした。
「・・・取られちゃったね」
嬉しそうに私ながら氷空くんはぐいっと私の腰を引き寄せた。
「・・・ん・・・」
ゆっくり、唇に触れるだけのキスが降る。
そのあとちゅっちゅっと啄むようなキスをされ、角度を変えて段々深くなる。
息・・・でき、ないっ・・・。
控えめにトントン、と氷空くんの胸板を叩くと唇が離れた。
「ごめん・・・苦しかったね」
涙目になっている私の眦を拭い、困ったように笑った氷空くんに首を傾げた。
「でももう・・・今日は抑え利かなそう・・・」
すぐにまたキスが降りてくる。
数秒後、私はハッとしてしまった。
気付いてしまったのだ。
「氷空、くんっ・・・みんな、待たせてる・・・!」
私が声を掛けると。
「あ」
いっけね、とでも言いたそうな顔になった氷空くんに笑ってしまった。
「あー、もっとしたかった。1回戻って帰ってもらう?」
「駄目だよ・・・!私も学園に滞在できるようにまた手続しなきゃ・・・!!」
「・・・ちっ」
わかりやすく?笑顔で舌打ちをした氷空くんはそっと私を離した。
「私をあなたの姫にしてくれるのですか?」
私が悪戯っぽくそう聞くと、氷空くんはパチパチと瞬きをしたあと、ニッコリ。
「・・・えぇ、もちろんです、姫。ここで誓いましょうか?」
「ふふ」
「これから俺は、真空を守る。万が一、離れても、愛することも誓う。・・・そんなこと、させないけどね」
だから・・・と氷空くんが区切り、私の手を取ってキスを落とした。
「ずっと俺に愛されて」
私の王子様は、私だけの王子様です。