無自覚姫は今日も美形集団を纏わせる

天才と秀才

私はずっとことあるごとに天才、神の愛し子と言われてきた。
ホントはそんなことない。
どちらかと言うと秀才よりなのだ。
満点のテストも、身体能力も、全部自分自身の努力の結果。
なのに──世間は私を、『才能』の一言で片付ける。
真の自分を見てほしい。
学力は、大学教授のお母さんが小さいころからみっちり教えてくれたから。
身体能力は、心配性はお父さんが武術を沢山習わせてくれたから。
何一つ、私に才能なんてない。
全部、努力。
努力しなくなったらどうなるんだろう。
親には捨てられるかな。
世間には興味を失わせてしまうかな。
友達には失望されてしまうかな。
怖くて怖くて、今まで死に物狂いで血のにじむような努力して。
ずっとずーっと、みんなの期待に応えようって生きてきた。
限界は来ない。
そう、信じてる。
睡眠時間を削っていろんなことしてるし、最近は新六法もほとんど覚えた。
日本国憲法はもちろんのコト、法律にも詳しくなったと思う。

「真空さんって何でもできるよね!」

その言葉が一番のプレッシャーだった。
なんでもできると思われてるから、もっと頑張らなきゃいけない。
私は天才ではないから・・・。
手を付けて、完璧にこなすまでは人前では見せられない。
天才は気楽だろうなぁ。
天才だって言われてもその通りだから気にしないだろうし、私みたいに悩むこともないだろう。
いいなぁ・・・でもなんで天才になりたいって思わないのか。
それは・・・。
いつか〈自分の努力を認めてくれる人〉が現れるかもしれないって。
そんな今まではそんなことなかった。
だから、綺麗事だってどこかで気づいていたんだ。。
なんで諦められないんだろ。
そんなに人に認められたいの?
なんで?どうして?
こんなに悩んでるのに・・・そこまでして認められたいのはなんで・・・?
分からない、分からないからまた悩む。
また悩んで、人に認められたくて・・・あぁ、私はこれからずっと、こうやって人生を無駄にしていくんだろうな。
直感で分かった。
このままではいけない。
変わらなければ。
人間、という冷たい生物から目をそらさなければ。
彼らに期待をしてはいけない。
私は一人で生きていく。
じゃなきゃ・・・死んでしまう。
私は死にたくない、だから殻に閉じこもる。
こうして引きこもりができるんだろうな・・・。
この時、私の運命は決まっていたはずだった。
けど、そこに私にとって、神様のような救世主様が現れた。
──動画制作部。
部長・私の双子の兄である心珠率いるわたしの救世主様の仲間になれた。
生きよう──って思えたんだ。
ありがとう、私の救世主様。
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