絶対強者の黒御曹司は危険な溺愛をやめられない
試したい
春休みが終わり、今日から新しい学園での生活が始まる。
高校二年生から転入というのもあって、不安がまったくないわけじゃない。
「ふぅ……たぶん大丈夫だよね」
薬が入ったケースをギュッと握って、気持ちを落ち着かせる。
ほぼ毎日飲んでいた薬の服用を今日からやめる。
これは、わたしにとってかなり大事なこと。
服用を続けている薬のこと、そしてわたしが抱えている秘密に大きく関わる制度があるのが、今日から通う桜城学園だ。
今まで家族や親しい人にしか明かしてこなかったわたしの秘密――それは、わたしが〝服従者〟であるということ。
この世には支配、服従で快感を覚える〝第二の性〟を持つ人間がいると言われている。
支配したい「支配者」、支配されたい「服従者」……どちらも本能的に抗えない欲求を抱いている。
褒めてあげたい、守ってあげたい、そして……支配したい。
そういう欲が人一倍強いのが支配者の特徴。
褒められたい、尽くしたい欲がとても強いのが服従者。
そして、支配されたい欲求もある。
支配者に命令されることが快感であり、嫌悪感がまったくない……らしい。