絶対強者の黒御曹司は危険な溺愛をやめられない
食欲はないし、夜もあまり眠れない。
こんなのが続いていたら、いつか倒れるかも。
でも、今はそれでもいいや……。
なんか考えるのも疲れるし、何も考えずに意識が飛んだほうが楽なんじゃないかな。
目の前がフッと暗くなった。
同時にまぶたも重くなって、身体を支える力も残っていなくて。
完全に意識を手離す寸前――誰かの焦った声が耳に届いた。
しばらく目を閉じたまま……でも、誰かに頬を優しく触れられてるのがわかる。
包み込むようなあたたかさ。
泣きたくなるくらい……このままずっと離れないでほしいって思うの……。
「りつき……くん……っ」
微かにこぼれた声は、きっと届かない――そう思ったのに、まぶたに優しいキスが落ちてきた気がした。