絶対強者の黒御曹司は危険な溺愛をやめられない
わたしと目線が合うようにしゃがみ込んで、わたしの頬を優しく包む。
「羽瑠は俺にこうされんの好きなんだっけ?」
頬をすり寄せると、その手がゆっくり離れた。
え、なんで……? いつもならもっと……。
「今はしてやらない」
指先で軽くわたしの唇に触れるだけで、それ以上は何もしてくれない。
「欲しいなら可愛くねだってみろよ」
今日の俐月くんはとことんイジワル。
じっと見つめるだけ。
でも、弄ぶように唇とか首筋にわずかに触れてくる。
言葉にするのは恥ずかしくて、思わずギュッと俐月くんの手をつかんだ。
「その顔……俺以外にぜったい見せるなよ」
「俐月くん、だけ……」
いつもなら手を握り返してくれるのに、今はしてくれない。
わたしが求めてばっかり……。