絶対強者の黒御曹司は危険な溺愛をやめられない
「し、してな――」
「言えたら甘いのしてやるのに」
「なっ、う……」
手をギュッと握って、じっと見つめて……惑わしてくるのずるい。
「ほら……言えよ羽瑠」
本能を揺さぶるような甘い命令に、逆らうことなんかできない。
ゆっくりコクッと首を縦に振った。
「うなずくだけじゃわかんないけど」
「俐月くんのこと心配してる気持ちがいちばん、だけど……」
「だけど?」
「ちょっとだけ、ギュッてしてもらいたいって……思いました」
ちゃんと素直に言ったのに、怪しく笑ったままわたしを見つめるだけ。
いつもなら、ここまで言えたら甘やかしてくれるのに。
「り、俐月くん」
「なに?」
なんかこれわたしのほうが求めてるみたい。
仕掛けてきたのは俐月くんなのに。