絶対強者の黒御曹司は危険な溺愛をやめられない
そして三十分後。
「わわっ、俐月くん髪びしょ濡れだよ! ちゃんと拭かなきゃ」
濡れた髪にタオルを乗せてるだけ。
あっ、でも手が使えないから難しいのかな。
「羽瑠がやって」
「じゃあ、ソファ座って!」
髪をわしゃわしゃ拭いてあげてると、正面からむぎゅっと抱きついてくる俐月くん。
「そ、そんなくっつかれるとうまくできないよ」
「俺ケガしてんのに?」
なんだか今日の俐月くんは、ちょっとわがままで甘えん坊。
抱きつかれたまま、タオルドライしてドライヤーで乾かしてあげた。
「あっ、そうだ。ちゃんと水分も取ってね」
お水が入ったペットボトルを渡す。
「あと湿布も取り替えるね」
あらためてケガした手を見ると、少し色が変わっていた。