絶対強者の黒御曹司は危険な溺愛をやめられない
* * *
そんなある日。今のところ平穏な毎日を過ごすことができて、薬を飲まなくても発作が起こることなく、身体の調子も前より良くなってきたときだった。
休み時間、俐月くんと教室に戻る途中のこと。
なんの前触れもなく、心臓が一度大きくドクッと跳ねた。
そのままドクドク激しくなって、耳元にまで響いてくるくらい。
うそ……これってもしかして発作が起きてる……?
ここ一ヶ月くらいずっと、薬を飲まなくても大丈夫だったのに。
「羽瑠どーした?」
「っ、なに……も」
俐月くんの声が頭の芯まで響いてくるみたい。
「羽瑠」
「ひぁ……ぅ」
耳元で名前を呼ばれただけなのに、おかしいくらい反応してる。
呼吸も浅くて苦しくなってきた。
「もしかして発作起きてる?」