絶対強者の黒御曹司は危険な溺愛をやめられない
中に入ると、テーブルがいくつかあって、ちゃんとした喫茶店……なのかな。
でも店員さんっぽい人はいなくて、入り口からいちばん離れた席に座るようにうながされた。
「やっぱこれ効果てきめんだ?」
男の人の手には、透明の液体が入った小瓶のようなものが。
蓋を開けると、さっきの甘くどい香りがする。
「さっきキミがいたカフェでさ、服従者だって会話が偶然聞こえたんだよね。これ、服従性を強める成分が配合されてるんだよ」
だから、はっきり断れなかったってこと……?
事実を知って、サーッと血の気が引いていく。
ここにいるのは危険すぎる。
テーブルに置いたスマホに手を伸ばした瞬間……いきなりガンッとテーブルを蹴る音が響いた。