絶対強者の黒御曹司は危険な溺愛をやめられない
消えてしまいそうな声で呼んだ瞬間――ガラスが割れたような大きな音が、店内に響き渡った。
えっ……今の音は何……?
視界が涙でいっぱいで、ぼやっとして見えない。
「その子、俺のだから離してくんない?」
こ、この声……俐月くんだ。
でも、どうしてここがわかったの……?
「はぁ? 部外者のお前に関係ない――」
「……離せって言ってんだよ。聞こえねーの」
わたしの上に覆いかぶさっている男の人の腕をつかんで、乱暴に地面に突き飛ばした。
「やっぱ羽瑠は俺がいないとダメなんじゃない?」
俐月くんの声を聞いて姿を見て、すごく安心してる。
さっきまで不安で怖くて仕方なかったのに。
それに、優しく抱きしめてくれて、涙も拭ってくれる。