絶対強者の黒御曹司は危険な溺愛をやめられない
同時に俐月くんのそばにいられるのは、わたしだけだったらいいのに……なんて。
* * *
まだ梅雨が明けず雨が続く毎日。実家に用事があって、その帰り道のこと。
「わぁ、子猫ちゃんだ……!」
道路のそばで小さな鳴き声がして近づいてみると、一匹の子猫がいた。
今日は雨も風も強くて、こんなところにいたら車に轢かれるかもしれない。
「ここにいるの危ないね。ほらおいで~」
しゃがみ込んで手を差し出すと、スリスリ寄ってきてくれた。
首輪してるってことは、飼い主さんが探してるかもしれない。
この雨だし、急いで飼い主さんのところに戻してあげないと。