絶対強者の黒御曹司は危険な溺愛をやめられない
足りない抑えたい
もうすぐ夏休みに入る七月上旬のこと。
梅雨が明けてから一気に蒸し暑くなってきたなぁ……なんて、のんきにそんなことを考えていた。
教室に戻る途中、男の子とすれ違って、ぶつかった拍子に相手がスマホを落とした。
「あっ、ごめんなさい!」
スマホの画面割れてないかな⁉︎
慌てて拾って確認しようとして視界に入ってきた検索画面。
「好きな人に振り向いてもらうには……?」
「わー‼︎ すみません、それ僕のスマホです……‼︎」
彼はたしか、隣のクラスの飯島くんだ。
少し前にあった他クラスとの合同授業で何度か一緒のグループだった。
「はっ、勝手に画面見ちゃってすみません!」
「い、いえ! 僕のほうこそスマホに気を取られすぎちゃって。ケガとかしてないですか?」
「わたしは大丈夫です! スマホも無事でよかったです!」
さっきの検索画面のこと、ちょっと気になるけど。
もしかして、好きな人がいて振り向いてもらうために頑張ってるのかな。
「あの、もしかして前に授業でグループ一緒だった椎波さんですか?」
「あっ、そうです!」
「やっぱり。すごく話しやすかったので印象に残ってて」
「ほ、ほんとですか! ありがとうございます!」