ももちゃんとUMA
ももちゃんの姉
ある日の帰り道、有誠は路上で不審な黒服にタックルされた。咄嗟に腕を掴もうとするが、するりと逃れられてしまう。黒服は言った。
「へっへっへ……元気そうだなユーマ」
「有誠です」
極めて不快である、と有誠の横顔には書いてあった。
全身黒服、ショートヘアを何色というのかわからない色に染め、耳にはピアスをいくつも開けた長身の女。
ももちゃんの姉、桜山さくらである。
「酒臭いので寄らないでください」
決してさくらとは目を合わせない。
「今日もつれねえな。なあ? ももと仲良くやってっか? もう付き合ってんだろ?」
「俺はももちゃんに言い寄ったりしていない。セクハラはやめろ」
「なんだ付き合ってねえのか」
ずずっと音を立てて、さくらはストローから酒を吸い上げた。ストローで飲むと早く酔いが回る気がするのだと以前言っていた。
「トロくせえな。おい、ちょっと飲むか? 酒の力借りれば告白の一つや二つ」
「警察呼びますよ」
じょーだんじょーだん、じゃあな、と言いながらさくらは飲屋街の方角に消えた。戻って来なければいいのに、と有誠は思った。
そこへ、関がおずおずとやって来た。さくらに人見知りして、近寄るのを迷っていたのだ。
「あっあっ、有誠くん、あのめっちゃ綺麗なお姉さん、誰? ていうか何?」
「どこが綺麗なもんか。あれはももちゃんの……人生のお荷物だ」
「どういう意味」
姉、と言うことを脳が完全に拒絶した結果だった。
「へっへっへ……元気そうだなユーマ」
「有誠です」
極めて不快である、と有誠の横顔には書いてあった。
全身黒服、ショートヘアを何色というのかわからない色に染め、耳にはピアスをいくつも開けた長身の女。
ももちゃんの姉、桜山さくらである。
「酒臭いので寄らないでください」
決してさくらとは目を合わせない。
「今日もつれねえな。なあ? ももと仲良くやってっか? もう付き合ってんだろ?」
「俺はももちゃんに言い寄ったりしていない。セクハラはやめろ」
「なんだ付き合ってねえのか」
ずずっと音を立てて、さくらはストローから酒を吸い上げた。ストローで飲むと早く酔いが回る気がするのだと以前言っていた。
「トロくせえな。おい、ちょっと飲むか? 酒の力借りれば告白の一つや二つ」
「警察呼びますよ」
じょーだんじょーだん、じゃあな、と言いながらさくらは飲屋街の方角に消えた。戻って来なければいいのに、と有誠は思った。
そこへ、関がおずおずとやって来た。さくらに人見知りして、近寄るのを迷っていたのだ。
「あっあっ、有誠くん、あのめっちゃ綺麗なお姉さん、誰? ていうか何?」
「どこが綺麗なもんか。あれはももちゃんの……人生のお荷物だ」
「どういう意味」
姉、と言うことを脳が完全に拒絶した結果だった。