ももちゃんとUMA
梅の種
昼休み、ももちゃんが唸りながら歯を食いしばっている周りで有誠がアワアワしていた。
「桜山、駄目だ。無理するな。危ないからペッしろ、ペッ」
有誠は自分の空になった弁当箱を差し出し、ももちゃんが噛み砕こうとしている梅の種を受け取ろうとした。
「おい有誠、その種持って帰ってどうする気だ?」関がからかうと、「うるさい! 今大変なんだから黙ってろ!」と本気で怒られてしまう。
関は自分の机に突っ伏してすっくすっくと泣き始めた。心配する者はいなかった。
「あともう少し……」
極めて難しい顔をしていたももちゃんの口からばきん! と音が聞こえた。
「大丈夫か! 歯が欠けたんじゃないか!」
クラスメイトが一瞬心配そうに振り向いたが、なんだ有誠くんか、と何事も無かったようにそれぞれの昼休みに戻る。
「ぜんぜん平気だよー」
「もうそんなことしなくていいだろ、おねしょも止まったんだから」
ももちゃんは赤面した。
今となっては昔のことだが、ももちゃんはおねしょがなかなか治らない子だった。
で、梅の種を割ってその中身を食べると治るという謎の民間療法を聞いてから、おねしょしなくなってもついつい食べてしまうのだ。普通においしいし。
「お、おねしょとか言わないでよ!」
ももちゃんは周囲を気にしつつ小声で怒ったが、有誠は「気にするな。終わったことだ」といらない励ましをした。
一方、桜山さんっておねしょの癖があったのか、と一部クラスメイトは心の中にメモをした。
有誠の存在がでかい障壁になっているだけで、ももちゃんは結構人気者で、興味を持っている人はすごくいっぱいいるのだ。
「桜山、駄目だ。無理するな。危ないからペッしろ、ペッ」
有誠は自分の空になった弁当箱を差し出し、ももちゃんが噛み砕こうとしている梅の種を受け取ろうとした。
「おい有誠、その種持って帰ってどうする気だ?」関がからかうと、「うるさい! 今大変なんだから黙ってろ!」と本気で怒られてしまう。
関は自分の机に突っ伏してすっくすっくと泣き始めた。心配する者はいなかった。
「あともう少し……」
極めて難しい顔をしていたももちゃんの口からばきん! と音が聞こえた。
「大丈夫か! 歯が欠けたんじゃないか!」
クラスメイトが一瞬心配そうに振り向いたが、なんだ有誠くんか、と何事も無かったようにそれぞれの昼休みに戻る。
「ぜんぜん平気だよー」
「もうそんなことしなくていいだろ、おねしょも止まったんだから」
ももちゃんは赤面した。
今となっては昔のことだが、ももちゃんはおねしょがなかなか治らない子だった。
で、梅の種を割ってその中身を食べると治るという謎の民間療法を聞いてから、おねしょしなくなってもついつい食べてしまうのだ。普通においしいし。
「お、おねしょとか言わないでよ!」
ももちゃんは周囲を気にしつつ小声で怒ったが、有誠は「気にするな。終わったことだ」といらない励ましをした。
一方、桜山さんっておねしょの癖があったのか、と一部クラスメイトは心の中にメモをした。
有誠の存在がでかい障壁になっているだけで、ももちゃんは結構人気者で、興味を持っている人はすごくいっぱいいるのだ。