陰が日向に変わる時
着替えを済ませた美春は南京錠をかけ、風呂場へ向かった。
50代くらいだろうか、同じ服を着た女性がしゃがんで脱衣所の掃除をしていた。

「あ、あのぉ〜」

恐る恐る声をかけると、しゃがんだまま顔を向けた。

「あなたが能瀬さん?」

「はい、能瀬美春です。今日からお世話になります」

女性はゆっくり立ち上がると、

「私は平田(ひらた)よろしくね」

無表情のまま美春の目を見つめた。

「よろしくお願いします」

「今日は私のやることを見て仕事を覚えて」

「はい」

「私は来週ここを出るから、あなたは私の仕事を引き継ぐのよ」

「わかりました」
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