陰が日向に変わる時
凄く困った顔してる。この時代に中卒なんて身近にはいないのだろうな。話しかけたことを後悔しているのかもしれない。

「私、席移りますね」

「えっ⁉︎ どうして? 俺、何かした?」

「いいえ、何も」

「だったらそのままそこにいなよ」

「……あのぅ……」

「ん?」

「他にも席、たくさん空いてますけど、どうしてここに座ったんですか?」

「君、ストレートだよね」

「え?」

「話したかったから。君と話したかったんだ。俺、先月からここに来るようになったんだけど、土曜日には必ず来てる君のことが凄く気になって、遠くからずっと見てた。ここに来る前、もし、今日もいたら話しかけよう、そう決めてたんだ」

「どうしてですか?」

「どうして?…… 一目惚れだね」

「え⁉︎ 私に、ですか?」

「そうだけど」

「人のこと、言えませんね。青井先輩もストレートじゃないですか」

「だな」

二人で顔を見合わせて笑った。
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