陰が日向に変わる時
「私、雑誌コーナー行ってくるね。カズくん、先に座ってて」
館内に入った美春は、秀和にそう告げると雑誌コーナーへと急いだ。
今週は美春の好きなファッション雑誌が発売された。図書館では雑誌の貸出はしないので、新刊コーナーに並べられているはずだ。
「あった」
新刊のファッション雑誌を手に取ると、秀和がいるテーブル席へ急いだ。
「美春はその雑誌好きだよね」
「うん、私、ファッションに携わる仕事がしたかったの。雑誌に載ってる服とか小物とか、バッグとか、自分が身につけてるところをを想像したりするのが好き」
「美春は、何を身につけても似合うと思う。どんなモデルよりもきっと」
「カズくん、お世辞上手だね」
「事実を言ってるだけだけど」
「うふふっ、ありがとう」
「冗談だと思ってるな? いつかきっと証明してやるから」
「え?」
「何でもない。ほら、雑誌早く読まないと」
「そうだね、早く読んで次の人に回さなきゃ」
証明してやるってなんだろう?
よくわからないけど、嬉しいな。
つい先程までの沈んだ気持ちはどこへやら、心は軽やかに踊っている。
秀和の顔を見て微笑むと、美春は雑誌を広げ、じっくり見ながらページを捲った。
美春のその姿を、秀和は愛しい眼差しで見つめながら描いていく。
とても穏やかな時間だ。
でも、そんな穏やかで愛しい時間は、あっという間に終わってしまうのだ。
館内に入った美春は、秀和にそう告げると雑誌コーナーへと急いだ。
今週は美春の好きなファッション雑誌が発売された。図書館では雑誌の貸出はしないので、新刊コーナーに並べられているはずだ。
「あった」
新刊のファッション雑誌を手に取ると、秀和がいるテーブル席へ急いだ。
「美春はその雑誌好きだよね」
「うん、私、ファッションに携わる仕事がしたかったの。雑誌に載ってる服とか小物とか、バッグとか、自分が身につけてるところをを想像したりするのが好き」
「美春は、何を身につけても似合うと思う。どんなモデルよりもきっと」
「カズくん、お世辞上手だね」
「事実を言ってるだけだけど」
「うふふっ、ありがとう」
「冗談だと思ってるな? いつかきっと証明してやるから」
「え?」
「何でもない。ほら、雑誌早く読まないと」
「そうだね、早く読んで次の人に回さなきゃ」
証明してやるってなんだろう?
よくわからないけど、嬉しいな。
つい先程までの沈んだ気持ちはどこへやら、心は軽やかに踊っている。
秀和の顔を見て微笑むと、美春は雑誌を広げ、じっくり見ながらページを捲った。
美春のその姿を、秀和は愛しい眼差しで見つめながら描いていく。
とても穏やかな時間だ。
でも、そんな穏やかで愛しい時間は、あっという間に終わってしまうのだ。