陰が日向に変わる時
高校を卒業すると、秀和は姿を見せなくなった。
覚悟はしていたものの、やはりダメージは大きい。
本を読んでも全く集中できず、ぼーっとすることの方が多かった。

美春は携帯を持っていない。持てないこともないが、鬼畜一家にこれ以上拘束されるのを避けるためだ。
なので、秀和とも連絡を取ることはできないのだ。

秀和のいない土曜日の図書館に、もう何度足を運んだのだろう。

今頃何をしてるのかな?

秀和のアメリカでの生活を想像する。

アメリカだから会話は英語だよね。カズくんはきっと英語もペラペラなんだろうなぁ。

そんなことを考えていると、自分も喋れるようになりたいと欲が湧いた。
最近図書館には、静かな部屋というものが設置され、テスト前の学生や、資格試験を目指す人たちが多く利用している。
一席ずつ仕切られていて、ヘッドホンを使えばCDも聴けるようになっているのだ。
これを使わない手はない。
美春は初心者用CD付きリスニングテキストとヘッドホンを借り、早速勉強を始めた。

図書館は最強だ!
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