陰が日向に変わる時
日本を代表する人気モデル、北島瑠璃(きたじまるり)だ。

「こんなに素敵なお嬢さんが秀和のお嫁さんなんて、私、嬉しくてワクワクしちゃう」

「母さん、いつまで抱きついてんだよ」

「あら、いいじゃない。もしかして、嫉妬?」

北島瑠璃がカズくんのお母さん!!
今日は意想外の事が起こり過ぎて、思考と感情が麻痺しつつある。

「初めまして、秀和のママしてます、青井瑠璃です。よろしくねっ」

美春に向けられたウインクは、パチンッと音がしそうな勢いだった。

「能瀬美春です、よろしくお願いします」

「美春、もう青井でいいんじゃないかな」

「そ、そうだね。青井美春、青井、青井…… 」

「うふふっ、慣れないわよね。私も仕事の時は旧姓を使ってるから、慣れるのにすっごく時間かかったもの。あっ、そうそう、マイダーリンからの伝言よ。ニューヨークで会えるのを楽しみにしているよ、ですって」

「父さんニューヨーク来れるんだ」

「お休み取れるみたいよ」

「あのぅ、お義父さまは今どちらに?」

「ワシントンよ。大使館勤務なの 。で、早速始める?」

「え? 何をでしょう?」

「ウォーキングよ」

「はい?」

「あら? 秀和から聞いてない?」

美春は秀和に視線を向けた。
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