陰が日向に変わる時
一方、歓声が響き渡る観客席には、憎々しい表情で美春を睨みつける麗果の姿があった。
美春が古城家を出た日、ショッピングに出かけていた麗果は、美春が出て行ったことを知らなかった。いつまでも帰ってこないことに痺れを切らした麗果は、書斎にいた時貞に不満をぶつけた。すると普段は優しい時貞が、
「あいつのことは二度と口にするなっ!」
鬼の形相で怒りをあらわにした。
「なんで私が怒鳴られなきゃいけないのよ」
ぶつぶつ言いながらリビングに戻り、テレビのリモコンを手に取ろうとした時、ゴミ箱の中に皺くちゃに捨てられている紙を見つけた。
広げてみると、なかなか手に入らないワールドコレクションのチケットだった。
「なんでこのチケットがここにあるの? なんで捨てられているの? 勿体無いじゃない! 誰が捨てたか知らないけど、貰っちゃおう。ラッキー、キャハッ」
そうして、とびっきりのオシャレをして会場にやって来たのだ。
なのに、目の前には、綺麗な衣装に身を包み、ポージングを決め、微笑む美春の姿がある。
しかも、イケメンデザイナーの KAZU が美春にキスをした。
「いったいどういうことよ……」
納得いかない麗果は、美春に真相を確かめようと控え室に乗り込んだ。
案の定警備員に静止される。
「関係者以外立ち入り禁止です」
「私はあの女の主人なのよっ! この手を離しなさいよっ! 奴隷の分際でなにランウェイなんか歩いてんのよっ!!」
喚き散らす麗果に好奇な目を向けるモデルたち。
髪を振り乱し、叫び続ける麗果は、とうとう警備室に連行され、警察に突き出されたのだった。
美春が古城家を出た日、ショッピングに出かけていた麗果は、美春が出て行ったことを知らなかった。いつまでも帰ってこないことに痺れを切らした麗果は、書斎にいた時貞に不満をぶつけた。すると普段は優しい時貞が、
「あいつのことは二度と口にするなっ!」
鬼の形相で怒りをあらわにした。
「なんで私が怒鳴られなきゃいけないのよ」
ぶつぶつ言いながらリビングに戻り、テレビのリモコンを手に取ろうとした時、ゴミ箱の中に皺くちゃに捨てられている紙を見つけた。
広げてみると、なかなか手に入らないワールドコレクションのチケットだった。
「なんでこのチケットがここにあるの? なんで捨てられているの? 勿体無いじゃない! 誰が捨てたか知らないけど、貰っちゃおう。ラッキー、キャハッ」
そうして、とびっきりのオシャレをして会場にやって来たのだ。
なのに、目の前には、綺麗な衣装に身を包み、ポージングを決め、微笑む美春の姿がある。
しかも、イケメンデザイナーの KAZU が美春にキスをした。
「いったいどういうことよ……」
納得いかない麗果は、美春に真相を確かめようと控え室に乗り込んだ。
案の定警備員に静止される。
「関係者以外立ち入り禁止です」
「私はあの女の主人なのよっ! この手を離しなさいよっ! 奴隷の分際でなにランウェイなんか歩いてんのよっ!!」
喚き散らす麗果に好奇な目を向けるモデルたち。
髪を振り乱し、叫び続ける麗果は、とうとう警備室に連行され、警察に突き出されたのだった。