陰が日向に変わる時
取材が終わるのを控え室で待っていた美春は、モデルたちから次々と声をかけられた。秀和を狙っていたモデルたち数人には冷たい言葉を投げかけられたりもしたが、圧倒的に祝福の言葉が多かった。

「ありがとうございます」と丁寧に頭を下げる美春に、スタッフも好感を持っているようだった。

「美春、待たせたね、帰ろうか」

取材を終えた秀和はまっすぐに美春のもとへ向かった。美春を労わるように抱きしめ、額にキスを落とすと、美春の手を取りしっかりと指を絡めた。

自然でスマートな秀和の振る舞いに、周りにいたモデルやスタッフからは拍手が沸き起こる。

二人は深く一礼し、拍手を浴びながら会場をあとにした。
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