陰が日向に変わる時
エピローグ
季節は巡り、4年の月日が流れた 。


肌を掠める春風が心地よい。

「Mommy〜」

ベンチに腰掛ける美春に手を振る小さな女神は、秀和に手を引かれている。

「絵本は読み終わったの?」

「Yeah!」

「お父さんはお母さんの隣に座ってもいいかな?」

「OK!」

ベンチに腰を下ろした秀和は、我が子を膝の上に抱きかかえた。

「ここは変わらないな」

「うん。ニューヨークに帰る前にどうしても来たかったから、我儘言ってごめんね」

「いいんだ。俺も来たかったから。俺たちが出会ったこの場所に」

「カズくん、私を見つけてくれてありがとう」

「俺の方こそ、出会ってくれてありがとう。愛してるよ、美春」

小さな女神が二人の顔を交互に見上げながら、元気よく真似をする。

「ARIGATO!」

可愛らしい "ありがとう" に二人の頬もこの上なく緩む。

3人の笑い声は春風に乗って、枝垂れ桜の花びらを優しく揺らした。
                         完
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