お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「よし、出発だ!」
そう宣言するなり、リエート卿は猛スピードを出した。
空気の膜で保護されているのをいいことに、ぐんぐん加速していく。
わぁ……!ジェットコースターみたい。
テレビで見た遊園地特集を脳裏に思い浮かべ、私はキラキラと目を輝かせる。
────が、兄は不機嫌そうに『チッ……』と舌打ちした。
恐らく、魔物の視認と魔法の展開が追いつかないのだろう。
なので、仕方なく氷の矢の雨を降らせていた。
『これで少しは魔物の進行を止められているといいのだけど』と思案する中、彼は不意に手を止めた。
と、次の瞬間────私達の体はいきなり落下……いや、それ以上のスピードで急降下していく。
ゾクリとした感覚が全身を駆け巡り、思わず目を瞑ると、風が四方八方へ散った。
ハッと息を呑むような音があちこちから聞こえ、私はゆっくりと目を開ける。
そして、視界に入ったのは────鎧姿の男女。
「お、お前……何でここに……」
「中央神殿に居る筈じゃ……」
いつの間にか着地して討伐隊の中に居た私達を前に、赤髪金眼の美男子と金髪赤眼の美女は呆然とする。
手足に追った傷の痛みなど気にならないようで、ただただ立ち尽くしていた。
今にも腰を抜かしそうなほど驚く二人を前に、リエート卿はニッと歯を見せて笑う。
「────父上、母上!助けに来ました!ここから先のことは、俺達に任せてください!」
そう宣言するなり、リエート卿は猛スピードを出した。
空気の膜で保護されているのをいいことに、ぐんぐん加速していく。
わぁ……!ジェットコースターみたい。
テレビで見た遊園地特集を脳裏に思い浮かべ、私はキラキラと目を輝かせる。
────が、兄は不機嫌そうに『チッ……』と舌打ちした。
恐らく、魔物の視認と魔法の展開が追いつかないのだろう。
なので、仕方なく氷の矢の雨を降らせていた。
『これで少しは魔物の進行を止められているといいのだけど』と思案する中、彼は不意に手を止めた。
と、次の瞬間────私達の体はいきなり落下……いや、それ以上のスピードで急降下していく。
ゾクリとした感覚が全身を駆け巡り、思わず目を瞑ると、風が四方八方へ散った。
ハッと息を呑むような音があちこちから聞こえ、私はゆっくりと目を開ける。
そして、視界に入ったのは────鎧姿の男女。
「お、お前……何でここに……」
「中央神殿に居る筈じゃ……」
いつの間にか着地して討伐隊の中に居た私達を前に、赤髪金眼の美男子と金髪赤眼の美女は呆然とする。
手足に追った傷の痛みなど気にならないようで、ただただ立ち尽くしていた。
今にも腰を抜かしそうなほど驚く二人を前に、リエート卿はニッと歯を見せて笑う。
「────父上、母上!助けに来ました!ここから先のことは、俺達に任せてください!」