お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
『シスコンここに極まれり』と心の中で呟き、俺はじっとリディアのことを見つめる。
兄のニクスを宥めようと穏やかな口調で話し掛け、柔らかく微笑む彼女は以前と変わらず優しい。
転移魔法の使用を提案した時も、討伐隊の救助に同行を申し出た時も、そう。
こいつの本質は、いつだって同じ。
たとえ、怖くて震えていても……不安で泣きそうでも、自分より誰かのために行動出来るやつなんだ。
そんなお人好しだから────俺はあの時、突き動かされた。
『行かないでくれ』という兄上の懇願を、退けられた。
自分の意志を貫く覚悟が持てた。
凛と咲く花のように真っ直ぐなリディアから、勇気を貰ったから。
まだ小さいのに必死に家族を守ろうとするリディアの姿を思い出し、俺はフッと笑う。
そして、ほぼ無意識に────
「なら、間を取って俺と出席するか?」
────と、口走っていた。
突然のパートナーの申し出に、リディアやニクスはもちろん……俺自身も戸惑う。
『いや、何言ってんだ!?俺!』と混乱しながら、オロオロと視線をさまよわせた。
兄のニクスを宥めようと穏やかな口調で話し掛け、柔らかく微笑む彼女は以前と変わらず優しい。
転移魔法の使用を提案した時も、討伐隊の救助に同行を申し出た時も、そう。
こいつの本質は、いつだって同じ。
たとえ、怖くて震えていても……不安で泣きそうでも、自分より誰かのために行動出来るやつなんだ。
そんなお人好しだから────俺はあの時、突き動かされた。
『行かないでくれ』という兄上の懇願を、退けられた。
自分の意志を貫く覚悟が持てた。
凛と咲く花のように真っ直ぐなリディアから、勇気を貰ったから。
まだ小さいのに必死に家族を守ろうとするリディアの姿を思い出し、俺はフッと笑う。
そして、ほぼ無意識に────
「なら、間を取って俺と出席するか?」
────と、口走っていた。
突然のパートナーの申し出に、リディアやニクスはもちろん……俺自身も戸惑う。
『いや、何言ってんだ!?俺!』と混乱しながら、オロオロと視線をさまよわせた。