お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
『悲観的になっても何も始まらない』と奮起し、私は入学式当日を迎える。
晴れ舞台に相応しい青空を前に、私はグレンジャー公爵家の馬車へ乗り込んだ。
「それでは、行って参ります」
お見送りに来てくれた両親に挨拶し、私は笑顔で手を振る。
すると、彼らは名残惜しそうな表情を浮かべた。
恐らく、寂しいのだろう。
アントス学園は完全寮制のため、長期休暇になるまでなかなか会えないから。
「リディア、元気でね……!体調には、充分気をつけるのよ!」
「はい、お母様もご自愛ください」
「学園に通うのが嫌になったら、いつでも帰ってこい。お前の居場所はちゃんとここにある」
「はい。ありがとうございます、お父様」
当たり前のように公爵家を帰る場所として提供してくれる父に、私は目を潤ませた。
『泣かないって、決めたのに』と思いつつ、何とか笑顔を保つ。
「あちらに着いたら、手紙を書きますね。それでは、また会える日まで────ごきげんよう」
晴れ舞台に相応しい青空を前に、私はグレンジャー公爵家の馬車へ乗り込んだ。
「それでは、行って参ります」
お見送りに来てくれた両親に挨拶し、私は笑顔で手を振る。
すると、彼らは名残惜しそうな表情を浮かべた。
恐らく、寂しいのだろう。
アントス学園は完全寮制のため、長期休暇になるまでなかなか会えないから。
「リディア、元気でね……!体調には、充分気をつけるのよ!」
「はい、お母様もご自愛ください」
「学園に通うのが嫌になったら、いつでも帰ってこい。お前の居場所はちゃんとここにある」
「はい。ありがとうございます、お父様」
当たり前のように公爵家を帰る場所として提供してくれる父に、私は目を潤ませた。
『泣かないって、決めたのに』と思いつつ、何とか笑顔を保つ。
「あちらに着いたら、手紙を書きますね。それでは、また会える日まで────ごきげんよう」