お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
あの馬鹿……!またシナリオを……!
ナチュラルにフラグをへし折っていくリディアに、私は『どうして、いつもいつも……!』と憤慨する。
でも、こうなってしまっては後の祭りだ。
はぁ……本来のシナリオでは、中庭で昼食を摂っているニクスの元にヒロインがたまたま通り掛かる筈だったのに……。
それで、お弁当代わりのサンドウィッチをヒロインが落とすことで会話に発展。
ニクスに少しお弁当を分けてもらい、一緒に食事するの。
ニクスは自分を全然知らない上、全く媚びてこないヒロインに興味を持ち、『お弁当を落とした時はまた来いよ』と誘う。
これをきっかけに、二人はどんどん仲良くなっていくんだけど……見事に失敗。
というか、シナリオを再現するためのチャンスすら掴めなかった。
机の横に掛けたピクニック用のバスケットを見つめ、私は深い深い溜め息を零す。
『とりあえず、どこかで食べるか』と思いつつ、席を立った。
────と、ここでバスケットの上に掛けた布が落ちてしまう。
『あっ』と声を出し、慌てて拾い上げようとすると、私よりも先に誰かが布を手に取った。
「どうぞ」
そう言って、布を差し出してくるのはクラスメイトのイザベラである。
『お弁当、いいですね』と笑顔で述べる彼女は、非常に友好的。
少なくとも、悪意は微塵も感じられなかった。
ナチュラルにフラグをへし折っていくリディアに、私は『どうして、いつもいつも……!』と憤慨する。
でも、こうなってしまっては後の祭りだ。
はぁ……本来のシナリオでは、中庭で昼食を摂っているニクスの元にヒロインがたまたま通り掛かる筈だったのに……。
それで、お弁当代わりのサンドウィッチをヒロインが落とすことで会話に発展。
ニクスに少しお弁当を分けてもらい、一緒に食事するの。
ニクスは自分を全然知らない上、全く媚びてこないヒロインに興味を持ち、『お弁当を落とした時はまた来いよ』と誘う。
これをきっかけに、二人はどんどん仲良くなっていくんだけど……見事に失敗。
というか、シナリオを再現するためのチャンスすら掴めなかった。
机の横に掛けたピクニック用のバスケットを見つめ、私は深い深い溜め息を零す。
『とりあえず、どこかで食べるか』と思いつつ、席を立った。
────と、ここでバスケットの上に掛けた布が落ちてしまう。
『あっ』と声を出し、慌てて拾い上げようとすると、私よりも先に誰かが布を手に取った。
「どうぞ」
そう言って、布を差し出してくるのはクラスメイトのイザベラである。
『お弁当、いいですね』と笑顔で述べる彼女は、非常に友好的。
少なくとも、悪意は微塵も感じられなかった。