お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
『まあ、数が数だし見落としでもあったのかも』と思い、私はまた最初から探し始める。
今度はゆっくり時間を掛けて、一冊一冊確認していると、不意に────
「女の子が冒険小説を読んでいるなんて、珍しいね」
────と、聞き覚えのあるセリフが耳を掠めた。
ピクッと反応を示す私は『まさか……』と嫌な予感を覚え、慌てて手摺に近づく。
半分身を投げ出すようにして吹き抜けから一階を見下ろし、絶句した。
何故なら────テーブルや椅子が置かれた中央エリアの一角に、レーヴェンとリディアの姿を発見したから。
しかも、リディアの手には勇者伝説の本が……。
「レーヴェン殿下もお読みになりますか?これ、凄く面白いですよ」
「おや?いいのかい?」
「はい。上巻はもう既に読み終わっていますので、良ければ」
長テーブルの上に置いておいたもう一冊の本を手に取り、リディアは『どうぞ』と差し出す。
『今度、感想を教えてください』と笑顔で言う彼女に、レーヴェンは首を縦に振った。
今度はゆっくり時間を掛けて、一冊一冊確認していると、不意に────
「女の子が冒険小説を読んでいるなんて、珍しいね」
────と、聞き覚えのあるセリフが耳を掠めた。
ピクッと反応を示す私は『まさか……』と嫌な予感を覚え、慌てて手摺に近づく。
半分身を投げ出すようにして吹き抜けから一階を見下ろし、絶句した。
何故なら────テーブルや椅子が置かれた中央エリアの一角に、レーヴェンとリディアの姿を発見したから。
しかも、リディアの手には勇者伝説の本が……。
「レーヴェン殿下もお読みになりますか?これ、凄く面白いですよ」
「おや?いいのかい?」
「はい。上巻はもう既に読み終わっていますので、良ければ」
長テーブルの上に置いておいたもう一冊の本を手に取り、リディアは『どうぞ』と差し出す。
『今度、感想を教えてください』と笑顔で言う彼女に、レーヴェンは首を縦に振った。