お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
今まで具体的に何をどうすればいいのか、指示してこなかったのはこのためか。
前世ではただのゲームのシナリオでも、ここでは予言書と同等の効力を持っている。
それを私利私欲のために活用すれば、どうなるか分からない。
私はゲームをプレイしたことないから、下手なことは言えないけど……でも────場合によっては、世界規模の変革をもたらす結果になるかもしれない。
『ルーシーさんが慎重になるのも仕方ない』と考え、私は背筋を伸ばした。
出来るだけ真摯な対応を心掛けようと思いつつ、桜色の瞳を真っ直ぐ見つめ返す。
「はい、もちろんです。悪用はしません」
一切言い淀むことなく断言すると、ルーシーさんはホッとしたように息を吐いた。
『なら、いい』とでも言うように表情を和らげ、肩の力を抜く。
「じゃあ、直近のシナリオを教えるからよく聞いて」
そう言って、ルーシーさんはキョロキョロと辺りを見回した。
誰も居ないことをしっかり確認してから口を開き、僅かに声のトーンを落とす。
「再来週末にある野外研修で────ヒロインの誘拐未遂事件が起きるの」
前世ではただのゲームのシナリオでも、ここでは予言書と同等の効力を持っている。
それを私利私欲のために活用すれば、どうなるか分からない。
私はゲームをプレイしたことないから、下手なことは言えないけど……でも────場合によっては、世界規模の変革をもたらす結果になるかもしれない。
『ルーシーさんが慎重になるのも仕方ない』と考え、私は背筋を伸ばした。
出来るだけ真摯な対応を心掛けようと思いつつ、桜色の瞳を真っ直ぐ見つめ返す。
「はい、もちろんです。悪用はしません」
一切言い淀むことなく断言すると、ルーシーさんはホッとしたように息を吐いた。
『なら、いい』とでも言うように表情を和らげ、肩の力を抜く。
「じゃあ、直近のシナリオを教えるからよく聞いて」
そう言って、ルーシーさんはキョロキョロと辺りを見回した。
誰も居ないことをしっかり確認してから口を開き、僅かに声のトーンを落とす。
「再来週末にある野外研修で────ヒロインの誘拐未遂事件が起きるの」