お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
◇◆◇◆
「はぁ……」
生徒会室にて、大きな溜め息を零す私は手元にある野外研修の資料をじっと見つめる。
生徒会長たる兄の手伝いで書類整理をしているのだが、内容がタイムリー過ぎた。
まあ、野外研修は全学年合同で行う行事のため、生徒会が関わっていてもおかしくないのだが。
それにしたって、タイミングが悪すぎる。
「おい、どうした?」
一人悶々とする私に気づき、兄が声を掛けてきた。
『何か悩みでもあるのか?』と心配しながらこちらへ手を伸ばし、そっと私の頭を撫でる。
「初めての野外研修で、不安なのか?」
「そう、ですね……」
兄の問い掛けに、私は曖昧に頷いた。
嘘は言ってない……けど、凄く後ろめたい気持ちになるわね。
だって、お兄様の考える不安と私の考える不安は恐らく別物だから。
いっその事、全部白状したい気分だけど……またシナリオを変えたら、ルーシーさんに怒られてしまう。
今度は『偶然』じゃなくて、『わざと』だから余計に。
何より、ルーシーさんの信頼を裏切るような真似はしたくない。
「はぁ……」
生徒会室にて、大きな溜め息を零す私は手元にある野外研修の資料をじっと見つめる。
生徒会長たる兄の手伝いで書類整理をしているのだが、内容がタイムリー過ぎた。
まあ、野外研修は全学年合同で行う行事のため、生徒会が関わっていてもおかしくないのだが。
それにしたって、タイミングが悪すぎる。
「おい、どうした?」
一人悶々とする私に気づき、兄が声を掛けてきた。
『何か悩みでもあるのか?』と心配しながらこちらへ手を伸ばし、そっと私の頭を撫でる。
「初めての野外研修で、不安なのか?」
「そう、ですね……」
兄の問い掛けに、私は曖昧に頷いた。
嘘は言ってない……けど、凄く後ろめたい気持ちになるわね。
だって、お兄様の考える不安と私の考える不安は恐らく別物だから。
いっその事、全部白状したい気分だけど……またシナリオを変えたら、ルーシーさんに怒られてしまう。
今度は『偶然』じゃなくて、『わざと』だから余計に。
何より、ルーシーさんの信頼を裏切るような真似はしたくない。