お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
『あ〜!やる気出ねぇ〜!』と零す彼に、兄は黙って資料の束を投げつける。
────が、片手で難なくキャッチされてしまった。
『チッ……』と舌打ちする兄と素知らぬ顔で作業を始めるリエート卿を他所に、レーヴェン殿下は黙々と仕事する。
「リディア嬢。悪いけど、その書類取ってくれるかな?」
「あっ、はい」
ちょうど整理の終わった書類を手渡す私に、レーヴェン殿下は『ありがとう』と笑顔で礼を言った。
受け取った書類を覗き込み、文面に目を通す。
「そういえば、リディア嬢は最近特待生のルーシー嬢と仲がいいよね。二人で校舎裏に行ったりしてさ」
「「「!?」」」
何の気なしに……世間話の一環として発しただろうレーヴェンの言葉に、私はもちろん兄やリエート卿まで驚いた。
────が、片手で難なくキャッチされてしまった。
『チッ……』と舌打ちする兄と素知らぬ顔で作業を始めるリエート卿を他所に、レーヴェン殿下は黙々と仕事する。
「リディア嬢。悪いけど、その書類取ってくれるかな?」
「あっ、はい」
ちょうど整理の終わった書類を手渡す私に、レーヴェン殿下は『ありがとう』と笑顔で礼を言った。
受け取った書類を覗き込み、文面に目を通す。
「そういえば、リディア嬢は最近特待生のルーシー嬢と仲がいいよね。二人で校舎裏に行ったりしてさ」
「「「!?」」」
何の気なしに……世間話の一環として発しただろうレーヴェンの言葉に、私はもちろん兄やリエート卿まで驚いた。