お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
案の定の展開を前に、私は迷わず言葉を紡ぐ。
過保護で優しい兄を説得するために。
「分かっています。でも────私が動くことで、ルーシーさんを見つけられる可能性が上がるなら力になりたい。助けたいんです、友人を」
確実にルーシーさんのところへ行ける力があるのに、使えないなんて……歯痒いにも程がある。
何より、それで見つからなかったら……ルーシーさんが酷い目に遭っていたら、私はきっと一生後悔する。
だから、自己満足でも何でも構わない。とにかく、ルーシーさんを助けたい。
────という想いを抱えながら、私は月の瞳を真っ直ぐ見つめ返した。
すると、兄は『はぁ……』と深い溜め息を零し、額に手を当てる。
「……分かった。ただし、絶対に無茶はするな」
「はい」
兄にこれ以上心労を掛ける訳にはいかないため、私は無理ない範囲で頑張ることを誓った。
もし、怪我でもしたら兄が苦しむのは分かり切っているため。
過保護で優しい兄を説得するために。
「分かっています。でも────私が動くことで、ルーシーさんを見つけられる可能性が上がるなら力になりたい。助けたいんです、友人を」
確実にルーシーさんのところへ行ける力があるのに、使えないなんて……歯痒いにも程がある。
何より、それで見つからなかったら……ルーシーさんが酷い目に遭っていたら、私はきっと一生後悔する。
だから、自己満足でも何でも構わない。とにかく、ルーシーさんを助けたい。
────という想いを抱えながら、私は月の瞳を真っ直ぐ見つめ返した。
すると、兄は『はぁ……』と深い溜め息を零し、額に手を当てる。
「……分かった。ただし、絶対に無茶はするな」
「はい」
兄にこれ以上心労を掛ける訳にはいかないため、私は無理ない範囲で頑張ることを誓った。
もし、怪我でもしたら兄が苦しむのは分かり切っているため。