お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない

大団円

◇◆◇◆

 ────例の事件から、ちょうど三週間後の今日。
私はレーヴェン殿下より、呼び出しを受けた。

「急に集まってもらって、悪いね」

 そう言って、レーヴェン殿下は申し訳なさそうに肩を竦める。
奥に設置された黒板の前に立ち、こちらを見下ろす彼は両手を後ろで組んだ。
畏まったように背筋を伸ばす彼の前で、私はふと周囲を見回す。
人目を避けるという意味合いで選んだだろう生徒会室には、役員である兄やリエート卿の他にルーシーさんの姿もある。
なので、用件は容易に想像出来た。

「────当事者である君達には、早めにモリス令息達の処遇を伝えるべきだと思って、今日集まってもらったんだ」

 ここへ呼び出した理由を明かすレーヴェン殿下に、私は『やっぱり』と納得した。
だって、例の事件に関わったメンバーが見事に勢揃いだったから。
長テーブルに沿う形で椅子に腰掛けるメンバーを見つめ、私は少しばかり不安になる。
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