お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
 私がリディアに憑依したからかな?それで設定が変わってしまったのかもしれない。

「あの、ルーシーさん。ゲームのリディアは、どういうギフトをお持ちなんですか?」

 数だけでなく内容も変わっている可能性を考え、私は恐る恐る尋ねた。
すると、ルーシーさんは怪訝そうな顔をしながらも一先ず答える。

「えっと……確か────『万能属性』と『嘆きの亡霊』と『分身』と『共鳴』と『魔力無限』だったと思う」

「そうですか……教えていただき、ありがとうございます」

 幸いと言っていいのか分からないけど、内容はほぼ同じ。
でも、そうなると余計分からなくなる。
だって、ギフトの数が足りないなんてどう考えてもおかしいもの。
私とリディアで内容が違えば、『中身(中の人)によって変わってくるんだね』と納得出来るんだけど。

「……どうして、『魔力無限』だけないの」

「えっ!?」

 ボソリと呟いた私の一言に、ルーシーさんは大きな声を出した。
掴んだままの肩を揺さぶり、物凄い勢いで距離を詰めてくる。
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