お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「えーっと、言い出しっぺの私は当然として……」

「聖騎士の俺も、当然参加するぜ!ルーシーの護衛とか、あるからな!」

「私も参加する所存だよ。国の……いや、世界の一大事とあってはじっとしていられないからね。それに君もさっき言っていただろう?戦いから逃れられたとしても、諸悪の根源を討つことが出来なければ死んでしまうって。だから、持てる戦力は全て投入するべきだと思う」

 ぐうの音も出ないほどの正論を述べるレーヴェン殿下に、私は何も言えなかった。
だって、それを否定してしまったら兄の説得が水の泡になるから。
きっと反論するなり、『なら、やっぱりお前の参加もなしで』と言われるに違いない。

 完全に八方塞がりだわ。
ここは大人しく、皆の参加を認めるしかなさそう。
それに攻略対象者達も戦力に加われば、心強いもの。
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