お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
 良かった、無事に和解……というか、分かり合えて。
だって、同じ志を持つ仲間なのにいがみ合っていたら悲しいもの。
何より、皆が心を一つにしないと魔王には勝てないと思う。

 『足並みバラバラで勝てる相手じゃない』と警戒心を抱き、私は気を引き締める。
────と、ここで今日の会議は終了となった。
とりあえず今後の方針は定められたため、各々考えを整理する時間が必要だと判断したのだろう。
ノクターン皇帝陛下の解散宣言を受けて退室していく大人達を前に、私は『ふぅ……』と一つ息を吐く。
どうにも気疲れしてしまって。

 見ているだけでもこんなにハラハラドキドキしたんだから、実際に交渉を行っていたルーシーさんはその比じゃないでしょうね。
お父様やクライン公爵をはじめ、大人達に結構厳しい言葉を投げ掛けられていたし。
終始毅然とした態度を貫いていたけど……心配だわ。
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