お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
◇◆◇◆

 ────最初の会議から、早一ヶ月。
私達は学校や仕事も休んで毎日のように議論を繰り広げ、何とか結論を出すことが出来た。
と言っても、役割分担が決まっただけで細かいことを詰めるのはまだ先。
ただ、あのような大きな会議を開くことは当分ないだろう。
これからは役割分担で一緒になった人達というか、グループで話し合っていく予定だ。

 さすがに何ヶ月も皇城の一室に籠って、会議する訳にはいかないからね。
私達子供はさておき、大人達には仕事だってあるもの。
魔王を倒すことはもちろん大事だけれど、領民の生活を支えるのも同じくらい重要だわ。

 『疎かに出来ない』と考えつつ、私は正面へ視線を向ける。
すると、そこにはルーシーさんの姿が。
黒板をバックに生徒会室を見回す彼女は、コホンッと一回咳払いした。

「それじゃあ、改めて会議のおさらいをして行きます」

 そう前置きしてから、ルーシーさんは本題へ入る。
< 274 / 622 >

この作品をシェア

pagetop