お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「私達に割り当てられた役割は、魔王の討伐と────学園関係のイベント……じゃなくて、アイテム収集や四天王の撃破。数はそこまで多くないけど、どれも重要だから気を引き締めていきましょう」

 長テーブルに沿う形で着席する私達を見下ろし、ルーシーさんはグッと手を握る。
それに合わせて、リエート卿が『おう!』と声を張り上げた。
やる気満々の彼を前に、ルーシーさんは楽しげに笑う。

「えっと、アイテムの方は時期も関係しているから一旦置いておきます。今すぐ、どうこう出来るものじゃないので」

「分かった」

 ルーシーさんの決定に、一番気難しい筈の兄が了承の意を示した。
普段であれば、『何故だ?理由を言え』と問い質しているところなのに。
予め未来予知(シナリオ)の詳細を聞いているとはいえ、ここまですんなり納得するのは珍しい。
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