お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
『想定内の反応だ』とでも言うように目を細め、彼女は父に一歩近づいた。
「あの日のワイン、珍しく赤だったでしょう?」
「!!」
「公爵様は白がお好きですもんね。でも、それだと薬を盛ったら直ぐにバレてしまうので、敢えて発注ミスをしました。お優しい公爵様なら、『数日くらい、赤でもいい』と仰ってくれる筈なので」
『実際、そうだったでしょう?』と言い、メイドはクスリと笑みを漏らす。
「あの日のワイン、珍しく赤だったでしょう?」
「!!」
「公爵様は白がお好きですもんね。でも、それだと薬を盛ったら直ぐにバレてしまうので、敢えて発注ミスをしました。お優しい公爵様なら、『数日くらい、赤でもいい』と仰ってくれる筈なので」
『実際、そうだったでしょう?』と言い、メイドはクスリと笑みを漏らす。