お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
 魔王に脅されて、やっているのかしら?
ルーシーさん曰く、超進化はされていないみたいだから。
本当にただ第三者として、協力しているだけ。
まあ、生徒を生贄にしようとしているのはいただけないけど。

 『ゲームのシナリオでは、本当に一人犠牲になっているし……』と嘆息し、眉尻を下げる。
どう対応しようか迷う私の前で、学園長は先程の発言を了承と捉えたのかパッと表情を明るくした。

「い、生贄になって頂けるんですか……!?」

「えっ?それは、あの……」

 期待の籠った眼差しを向けられ、私は言葉に詰まる。

 囮役としては、『はい』と答えるのが無難なんだろうけど……あっさり了承して、信じてもらえるだろうか?
逆に怪しまれるのでは?
少なくとも、普通は嫌がる……わよね?
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