お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「地下室へ繋がる隠し通路、ですか」
突然ここまで連れてこられ、先程ようやく説明を受けた特待生は悶々とする。
『研究室が地下って、ある意味ベターな……』と呟く彼女を前に、レーヴェン殿下は顔を上げた。
「一応先生方にそれとなく聞いてみたけど、アントス学園に本来地下室はないみたいなんだ。だから、分かりやすいところに通路は設置していないと思う」
『僕の千里眼では、学園長室の次に階段のようなものが視えた』と語り、周囲を見回す。
でも、当然階段なんて見当たらない。
あるのは、執務机と本棚くらい。
『本当にここにあるのか?』と誰もが疑問に思う中、特待生がふと本棚へ顔を向けた。
「推理小説とかだと、本棚が隠し通路の扉になっているんですけど……」
『さすがにないかなぁ』とボヤきながら、特待生は本を一冊手に取る。
その刹那────本棚は独りでに動き出し……下へ続く階段を出現させた。
言うまでもなく、これが隠し通路で……
「「「「えっ?」」」」
僕達は思わず声を漏らしてしまう。
だって、こんなにもあっさり見つかるなんて思わなかったから。
突然ここまで連れてこられ、先程ようやく説明を受けた特待生は悶々とする。
『研究室が地下って、ある意味ベターな……』と呟く彼女を前に、レーヴェン殿下は顔を上げた。
「一応先生方にそれとなく聞いてみたけど、アントス学園に本来地下室はないみたいなんだ。だから、分かりやすいところに通路は設置していないと思う」
『僕の千里眼では、学園長室の次に階段のようなものが視えた』と語り、周囲を見回す。
でも、当然階段なんて見当たらない。
あるのは、執務机と本棚くらい。
『本当にここにあるのか?』と誰もが疑問に思う中、特待生がふと本棚へ顔を向けた。
「推理小説とかだと、本棚が隠し通路の扉になっているんですけど……」
『さすがにないかなぁ』とボヤきながら、特待生は本を一冊手に取る。
その刹那────本棚は独りでに動き出し……下へ続く階段を出現させた。
言うまでもなく、これが隠し通路で……
「「「「えっ?」」」」
僕達は思わず声を漏らしてしまう。
だって、こんなにもあっさり見つかるなんて思わなかったから。