お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない

学園祭の準備

 『今日から授業は免除されますので』と言い残し、ジャクソン先生は教室を出ていった。
きっと、先生も先生で学園祭の準備があるのだろう。
それにアントス学園の催しは基本、生徒達に一任されているから。
『おんぶにだっこでは、成長しない』という考えにより。

「じゃあ、役割分担はさっき話し合った通りに。時間の空いている人は他の班の手伝いか、個人発表の準備をしておいてほしい」

 場の空気を読んで、レーヴェン殿下は指示を出した。
というのも、クラスを仕切れる人物が彼しか居なかったため。
私は見ての通りリーダーに向いていないし、ルーシーさんは平民のため反感を買いやすい。
他の者達も個人の性格や立場により、何も言えない状況だった。

 レーヴェン殿下が居てくれて、本当に良かったわ。

 ホッとしたように肩の力を抜く面々を見て、私も少し安堵する。
と同時に、ルーシーさんの元へ向かった。
< 348 / 622 >

この作品をシェア

pagetop