お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「魔道具なんかの創作物は基本オークションで販売されて、その利益を学園と折半。どうしても手元に置いておきたい場合は、先生に言って。便宜を図ってくれるから。あと、論文の発表は時間制でプチ実験や試作品を配ってもOK。ただし、タイムオーバーになったら強制退場」

 『時間配分を考えないと、詰む』と話し、ルーシーさんはこちらへ目を向けた。
と同時に、後ろで手を組む。

「確実に利益へ繋がるのは創作系だけど、発表系も『色んな人に見られる』と考えたらメリットは大いにある。顔を覚えられるのはもちろん、事業に投資してもらえるチャンスだから。実際、学園祭を機に貴族や商会に目を掛けられて、大出世した人は大勢居るよ」

 『ほら、✕✕とか○○とか』と名前を出すルーシーさんに、私はコクコクと頷く。
だって、それらの人物は貴族の間でも有名な方々だから。
噂話に疎い私ですら、知っているレベルだ。
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