お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない

個人発表の制作

◇◆◇◆

「────で、これは何?」

 テーブルの上に並べられた宝石を指さし、ルーシーさんは頬を引き攣らせる。
『誰がこんなもの持ってこい、と言った!?』とでも言うように。

「さて、問題です。今から約三十分前、私はなんと言いましたか?」

「えっと、確か……『ビーズと紐を持って、校舎の空き教室に集合』と仰っていました」

 一緒にブレスレットを作ることになった後、直ぐに一度解散したことを思い出し、私は身を縮める。
だって、目の前にあるのはどう考えても……ビーズじゃないから。
『紐の方は多分セーフ……かな?』と冷や汗を流す私の前で、ルーシーさんは大きく息を吐いた。

「うん、そうだよね。それで、どうして宝石(・・)を持ってきた訳?」

 『理由があるなら聞こうじゃない』と言い、ルーシーさんは腕を組んだ。
ついでに足も。
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