お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「あの、本当にわざとじゃなくて……私も普通にビーズを持ってくるつもりだったんです。でも、お兄様とリエート卿に相談したら『宝石でいいじゃん』という話になってしまい……」

「二人の押しに負けた、と?」

「はい……」

 ガクリと項垂れるようにして首を縦に振り、私はじっと宝石を眺めた。

「勝手なことをしてしまい、申し訳ございません。一度、相談するべきでした」

「いや、もういいよ。リエート達に丸め込まれたのは、何となく分かったから。それより、これ量多くない?」

 『何個作るつもり?』と呆れるルーシーさんに、私は慌ててこう答える。

「実はルーシーさんの分も含まれていて。お兄様とリエート卿から、二人で使うよう言われています。余った分は売るなり、誰かにあげるなりしていいとのことです」

「それはまた太っ腹な……」

 『さすが、公爵家』と呟きながら、ルーシーさんは宝石を一つ摘み上げた。
それを光に照らして(透かして)笑い、『綺麗ね』と目を細める。
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