お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
「僕達に何か用か?」

「あっ!もしかして、宝石のことか?」

 『やっぱ、足りなかった?』と苦笑し、リエート卿は頬を掻く。
今にも追加発注を掛けそうな彼を前に、私とルーシーさんは首を横に振った。

「いえ、そういうことではなくて」

「ブレスレットを作り過ぎちゃったから、二人にプレゼントしようと思ったんです。材料を揃えてくれたお礼ということで」

 『良かったら貰ってください』と述べるルーシーさんに、私はコクコクと頷く。
そして、二人に袋を渡した。

「えっ?いいのか?俺らが貰っちゃって」

「はい」

「私達の手には余る代物なので」

「売るなり、あげるなり好きにしろと言ったのに」

 『全く……』と呆れつつも、兄は少し嬉しそうだ。
リエート卿も、若干目を輝かせている。
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