お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
正面玄関から外へ出た私は人集りを一瞥し、小さく深呼吸する。
『出来るだけ、いつも通りに』と言い聞かせ、校舎裏へ足を運んだ。
普段と違い、なんだかヒッソリしたような雰囲気を感じながら、私は辺りを見回す。
今回のイベントの最重要人物────妖精を探すために。
イベントの大雑把なあらすじは、こう。
人間の文化に興味のある妖精がアントス学園の学園祭を訪れ、あちこち見て回る。
でも、途中で迷子になってしまうの。
人に道を尋ねようにも誰も居らず、困り果てていたところにヒロインが通り掛かるという訳。
そこでヒロインに助けられ、妖精は感謝の印にとあるアイテムを授けるのだ。
やること自体はそこまで難しくないし、比較的平和。
でも、気をつけなきゃいけないのが────妖精には、人の心を見抜く力があること。
『見抜く』と言っても、考えていることを言い当てるほどのものじゃない。
ただ、喜怒哀楽を感じ分けられるだけ。
とはいえ、人の邪な感情を判別したり嘘を暴いたりするには充分。
だから、出来るだけフラットな精神状態でありたかった。
『出来るだけ、いつも通りに』と言い聞かせ、校舎裏へ足を運んだ。
普段と違い、なんだかヒッソリしたような雰囲気を感じながら、私は辺りを見回す。
今回のイベントの最重要人物────妖精を探すために。
イベントの大雑把なあらすじは、こう。
人間の文化に興味のある妖精がアントス学園の学園祭を訪れ、あちこち見て回る。
でも、途中で迷子になってしまうの。
人に道を尋ねようにも誰も居らず、困り果てていたところにヒロインが通り掛かるという訳。
そこでヒロインに助けられ、妖精は感謝の印にとあるアイテムを授けるのだ。
やること自体はそこまで難しくないし、比較的平和。
でも、気をつけなきゃいけないのが────妖精には、人の心を見抜く力があること。
『見抜く』と言っても、考えていることを言い当てるほどのものじゃない。
ただ、喜怒哀楽を感じ分けられるだけ。
とはいえ、人の邪な感情を判別したり嘘を暴いたりするには充分。
だから、出来るだけフラットな精神状態でありたかった。