お人好しの悪役令嬢は悪役になりきれない
 確か妖精は虹眼と言って、とても珍しい色彩の目をしているから隠しているのよね。
人間に正体がバレれば、利用されるかもしれないから。
妖精という種族は魔力量が人並み外れている上、長寿だから狙われやすいの。
あと、すっっっごく美人。

 『全体的なイメージはエルフに近いかも』と思いつつ、私は柔らかい笑みを浮かべる。
少しでも、警戒心を解そうと思って。

「もちろん、構いませんよ。ちょうど、暇をしていたところなので」

「あら、本当ですか?では、よろしくお願いします」

 大人の女性を彷彿とさせる妖艶な笑みを零し、フィリアはお辞儀した。
その際、フードに詰め込んでいた艶やかな金髪が零れ出る。
が、直ぐにサッと仕舞った。
先程より深くフードを被っているフィリアの前で、私はクスリと笑みを漏らす。
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